お伊勢参りが盛んだった時代、伊勢街道沿いにある長谷寺は多くの参詣客で賑わいました。
庶民信仰のメッカとして、初瀬詣は大変人気が高かったのです。
399段の登廊を登り切り、左側の本堂へと入って行きます。
長谷寺のご本尊は十一面観音菩薩立像。
右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に水瓶(すいびょう)を持つ観音様です。
水瓶とは、観音菩薩の象徴で聖水が入っている水差しのことです。観音様が水瓶をお持ちなのは当たり前なのですが、右手に錫杖を携えておられる・・・これは観音様としては大変珍しいことなのです。
登廊を登って来る途中にも、境内に”錫杖を持っている観音様”のことがアナウンスされていました。
錫杖とは何なのか?
錫杖とは、先端に環の付いた杖のことです。
地蔵菩薩があらゆる世界を巡って、人々を救済する象徴として持つ杖のことなんです。
地に引く際に、錫々の音を立てるところから錫杖と言われています。
元はインドにおいて、僧侶が山野を遊行するとき、錫杖を振り鳴らして毒虫を追い払い、物乞いの際に門戸に立ったことを知らせた道具だったようです。
長谷寺の本堂内。
菩薩は如来になるために修行中の身です。
一般庶民により近い場所におられるのです。
様々な悩みを持つ庶民を救済することなしには、決して如来にはならないと宣言されている有難い菩薩様。
錫杖には、庶民との距離の近さが感じられます。
ところで、「錫」という漢字ですが、あまり馴染みのない漢字ですよね。
錫とは鈴、あかがね、赤銅(しゃくどう)のことを意味します。
鈴の中には銅の珠が入っていますからね。
余談になりますが、赤銅鈴之助という漫画がありましたよね(笑)剣をとっては日本一に・・・というフレーズで想起される方も多いのではないでしょうか。
長谷寺十一面観音菩薩立像の右手にある錫杖には、市井に降りてきて下さる地蔵菩薩の一面が垣間見えます。
観音様でありながら、お地蔵様の要素も兼ね備えた長谷寺のご本尊。人気の出ないはずがありませんよね。
◇長谷寺の十一面観音菩薩立像 長谷観音ご案内!
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