奈良県桜井市の長谷寺のご本尊は十一面観音菩薩立像です。
高さが10m余りもある木造仏は、楠の霊木で造られています。
今年の秋も「本尊特別拝観」が予定されている長谷寺。入山料の500円とは別に、特別拝観料の1,000円を納めれば、長谷寺大観音の御足に触れることができます。
菩薩とは、菩提を求めて修行する者のことをいいます。
菩提とは悟りのことですね。
悟りを開く前の段階にいらっしゃるのが菩薩様です。
本堂横に掲げられた、長谷寺の十一面観音特別拝観を案内する看板。
三丈三尺の長谷観音に負けじと、こちらの立看板もずいぶんノッポです(笑)
奈良県内には光明皇后をモデルにしたと言われる木造十一面観音像や、天平彫刻の傑作とされる聖林寺の十一面観音像など、有名な十一面観音が幾つか見られます。
そもそも十一面観音とは、大光普照(だいこうふしょう)観音とも呼ばれ、頭上の11面の内、前後左右の10面は菩薩修行の階位である十地を表し、最上部の仏面は仏果を表すとされます。そう言われてみれば、長谷寺の十一面観音の頭上にも一つだけ上に突き出た仏面が確認できます。
長谷寺本堂の大悲閣。
この世で悩み苦しむ人間が全て救われるまで、仏(如来)にはならないとお誓いになられている菩薩様・・・。
菩薩に願い事をすれば、菩薩の慈悲の心に救われると言われています。
長谷寺礼堂に置かれた香炉台。
ちょうどこの香炉台に隠れていますが、この向こう側に十一面観音様の御顔を見ることができます。
国宝の本堂はご本尊の安置される内陣、礼堂、舞台に大きく分かれます。本堂にはお坊さんの読経の声が鳴り響き、荘厳な雰囲気が醸されます。
長谷寺の五重塔。
長谷寺の十一面観音菩薩像は左手に宝瓶(ほうびょう)、右手には錫杖(しゃくじょう)と念珠を持っています。
観音様に宝瓶は似つかわしいのですが、錫杖と念珠はお地蔵さんを連想させます。
長谷寺本堂の舞台。
観音と地蔵菩薩が一つに合体したようなお姿をしていらっしゃいます。
地蔵菩薩とは、僧侶の格好をして杖を片手に市井を歩き回り、人々を救済する菩薩のことです。その地蔵菩薩のトレードマークが長谷観音には見られるのです。
長谷大観音の特別拝観。
観音菩薩という存在も、人々を救済することによってそれが修行となり、如来への道が開けてくるわけですから、観音菩薩と地蔵菩薩をよく似たカテゴリーで括ることもできます。
俗世界に自ら降りてきて、人々の悩みや苦しみを取り除いてくれる有難い存在です。
長谷大観音特別拝観では、十一面観音菩薩像の足に直接触れることができます。
滅多にない機会ですね。
一段下に降りてきて下さるわけですから、この十一面観音菩薩像が庶民信仰の対象になっているのも頷けます。
仁王門から本堂へ続く登廊。
観世音菩薩は様々な形に姿を変えて、人々に教えを下します。
長谷寺のご本尊のように11の顔を持つ十一面観音、多くの手を持つ千手観音、馬の頭を頭上に冠して怒りの表情をした馬頭観音(ばとうかんのん)などがあります。
雲の上の存在の如来ではなく、庶民にとってより近い存在である菩薩。
お優しい雰囲気を醸し出す長谷寺の十一面観音菩薩像・・・紫式部や清少納言も心惹かれた観音様だったことは、その書物からもうかがい知れます。
<長谷寺関連情報>
〒633-0001 奈良県桜井市三輪459
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TEL:0744-42-6003 (22時まで宿泊予約直通)
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